雨漏りが起きている住宅は、さまざまな問題を引き起こすことがあります。雨漏りは建物の寿命を縮めるだけではなく、シロアリの発生原因にもなるため注意が必要です。
ここでは、雨漏りとシロアリの関係性の他、駆除や防除費用についての説明をしていきます。
雨漏りとシロアリの密接な関係
雨漏りによる被害は、一次被害と二次被害に分けられます。一次被害は、屋根や建物が劣化することで、家屋に雨水が浸入してくることを言います。
二次被害とは、家屋に浸入してきた雨水によって起こる、建物への症状のことを言います。特に多いのが建材の腐食です。
シロアリは、湿った木材が好きなため、雨漏りで腐食した建材はシロアリの格好の住みかとなってしまいます。また、シロアリが発生する要因の8割が、雨漏りによるものだと言われています。
シロアリが繁殖しやすい環境
シロアリが繁殖しやすい環境や主な侵入経路は次の通りです。
シロアリの繁殖しやすい環境
・湿度が高く、あたたかい場所
・シロアリのエサとなる木材や枯れ木など、食べ物が豊富な場所
・外敵がいない
シロアリの侵入経路
・基礎の立ち上がりや打ち継ぎ部
・玄関のポーチ
・配管まわりや繋ぎ目
・外からの飛来
シロアリの被害は木造住宅だけでなく、鉄筋コンクリート造りの建物でも見られることがあります。コンクリートにできた小さな隙間から床下や内部にシロアリが侵入してきます。また、外来種であるアメリカカンザイシロアリによる被害も最近では増えてきています。
アメリカカンザイシロアリは日本に生息しているヤマトシロアリやイエシロアリと違い、床下からではなく外から飛来してくるため予防が難しいシロアリです。
シロアリが発生しているサイン
シロアリが発生した場合、次のような症状が見られるかもしれません。
蟻道がある
蟻道(ぎどう)とは、シロアリが建物内に侵入するために、土や排泄物で作り出したトンネルのことです。蟻道は床下のコンクリートや木材に直接くっついていることが多く、半円形の形をした通り道になっています。
羽アリの発生
羽アリ全てがシロアリではありません。黒アリとシロアリでは次の箇所が異なっています。
黒アリ | シロアリ | |
---|---|---|
羽 | 羽の大きさが異なる | 4枚の羽がすべて同じ大きさ |
胴体 | 胴体にクビレがある | 胴体にクビレがない |
触覚 | 触覚は「く」の字に折れている | 触覚は折れていない |
また、シロアリの羽はすぐにとれやすいため、羽だけが落ちていることがよくあります。
室内にいる羽アリがシロアリだった場合、専門業者に相談することをお勧めします。その際に、数匹捕まえておくと、業者も判断しやすいです。
木くずやフンがある
シロアリは柱や壁と言った木材を食べながら移動するため、木くずやフンが落ちていることがあります。
壁や柱から空洞音がする
空洞音とは、壁や柱をたたいた時に他の箇所とは異なる音(軽い音や高音)のことを言います。シロアリに食べられた柱などは内部が空洞化してしまうため、このような音がします。
木材に穴があく
シロアリは、木材を食べながら移動するため、食べられた木材には穴があきます。被害が進行してくると柱などの木材そのものが小さくなってきてしまうため、地震などで倒壊する恐れが高まります。
シロアリによる建物の被害
シロアリによる被害が出やすい主な箇所は、次の通りです。
床下
光が当たらない床下は暗く、シロアリが好む木材も多い。また、湿度も高い。
壁
侵入口となる土壌に近い外壁など、被害が起こっていても表面を剥がさないと内部の様子がわからない。また、雨漏りや水漏れが起こっていれば被害を助長しやすい。
風呂やトイレ、台所などの水まわり
湿気が多く、シロアリが好む環境。また、水やお湯が飛び散ってカビが発生したり、木部の腐食につながったりする。
玄関
土壌と木部が近い箇所。ポーチの構造によっては、玄関からシロアリが侵入しやすくなる。
和室
シロアリは和室の敷居柱の中に侵入しやすく、畳もエサとなる。
ウッドデッキや植木花壇
雨風にさらされることが多いため、木製のウッドデッキなどは腐食しやすく、シロアリの被害に遭いやすい。人工木やプラスチック製のウッドデッキを使用することでシロアリ対策ができる。また、土の中にいるシロアリは枯れ木だけでなく、植木などの元気な木を狙うこともある。
シロアリの被害が少なければ、部分的な補修で済むことが多いです。しかし、室内でシロアリを見かけるなどその被害が大きくなれば、大掛かりなリフォームが必要になってしまいます。
シロアリ駆除費用の相場
シロアリ駆除に掛かる費用は、およそ1㎡あたり3,000円から3,500円程度が相場です。建物の構造や被害の程度によっても駆除費用は異なってきます。
シロアリの発生を予防する対策
シロアリの発生を防ぐためには、まず寄せ付けないことが大切です。シロアリのエサになりそうな木材や不要な荷物などを家の周囲に置かず、基礎まわりの風通しや日当たりを良くして、シロアリが住みにくい環境を作ります。
また、家に侵入させないことも大切です。シロアリが発生しそうな場所に薬剤を塗布したり、設置したりして侵入を防ぎます。メーカーによって異なりますが、一般的にシロアリを予防する薬剤の有効期限は5年です。
まとめ
シロアリは湿気や水分を好むため、雨漏りなどが原因でも発生することがあります。
シロアリによる被害は目に見えない箇所で起こりやすいため、なかなか気付きにくいです。また、被害を受けた柱や基礎などの木材は弱くなるため、建物倒壊の危険性が高まります。
シロアリかもと不安になった場合は、早急に専門業者へ相談されることをお勧めします。