外壁は、紫外線などの影響で少しずつ劣化していきます。これは経年劣化と呼ばれ、さまざまな症状があります。
このページでは、経年劣化の症状の一つである外壁のひび割れ(クラック)について、その原因や種類、補修方法などについて説明をしていきます。
クラックとは
クラックとは、ひび割れのことを言います。経年劣化で起こる症状の一つですが、クラックをそのままにしておいた場合、そこから雨水が浸入し、雨漏りや建物の構造に影響を及ぼすことがあります。
クラックは、サイディングやモルタル、タイルやコンクリート部分で起こりやすいです。
ひび割れ(クラック)の種類と原因
ひび割れ(クラック)には、さまざまな種類があります。
ヘアークラック
髪の毛ほどのクラックで、幅0.3mm以下で深さが4mm以下のものを言います。塗膜は経年劣化により性能が低下します。素地が膨張や収縮を繰り返すことで、塗膜の表面のみにひび割れが起こります。
乾燥クラック
モルタルなど、材料に水を混ぜて使う湿式工法では、乾燥する際に水分が蒸発することで収縮が起こります。完全に乾燥する前に発生するひび割れが、乾燥クラックです。乾燥クラックは、面積の大きい壁面などで起こりやすく、そのひび割れ幅は狭いです。外壁が完全に乾燥することで、クラックは大きくなりません。
構造クラック
幅0.3mm以上で深さが5mm以上のものを言います。地盤沈下や地震、筋交いの不足などによる建物の構造的な欠陥などによって起こります。構造的欠陥があると、建物は大きく揺れて歪みを生じるため、その歪力によって外壁材にひびが入ります。貫通クラックとも呼ばれる構造クラックは、建物の安全性に影響を及ぼすため、早急な補修が必要です。構造クラックは、別名貫通クラックとも呼ばれます。
縁切りクラックとは、塗装作業を中断したり、塗り直しをしたりした際に起こるクラックです。通常は、この縁切りクラックを防ぐために、一面を一度に仕上げるように塗装を行いますが、急な天候の悪化などで作業を中断せざるを得ないこともあります。また、後から気付いた塗り残しなどを、日数が経過してから塗った際にも発生します。
ひび割れ(クラック)の補修方法と費用
ひび割れ(クラック)の補修方法
●幅0.3mm以下(ヘアークラック)
ヘアークラックは建物の構造には特に影響がないため、補修の必要はあまりないと言われています。しかし、ヘアークラックが大きくなると雨水が浸入しやすくなることもあるので、塗装で埋めます。
●幅0.3mm~0.7mm
幅が0.3mmから1mmのクラックは、ヘアークラックが進行したものが多いです。また、塗膜だけでなくモルタル部にもひびが入ってしまっているので、シーリング材と下塗りに微弾性フィラーを使用して補修します。
●幅0.7mm以上
幅が0.7mm以上のクラックは、建物の構造にも問題が考えられるので、早めに補修する必要があります。補修方法は、まずクラック部に沿うようにU字やV字にディスクグラインダーを使用してカットしていきます。作った目地にシーリングを充填して、クラックの補修を行ってから、微弾性フィラーを下塗りして塗装をします。
ひび割れ(クラック)の補修費用
ひび割れ(クラック)の補修にかかる費用は、その幅や深さ、下地の種類や発生要因によって異なります。
補修作業を行うために足場が必要な場合は、足場代などがかかります。補修が部分的であれば数万円で済みますが、補修範囲が広く、塗装が壁面全体に必要になってくる場合などはかかってくる費用も高額になります。
横のクラックには注意!
一般的にクラックと言えば、縦方向に入るものが多いです。これは、温度の変化や乾燥によるヘアークラックで、建物の構造に影響を与えるものではありません。しかし、クラックが横向きに入っている場合は注意が必要です。
横向きのクラックは、建物の構造に何かしらの問題が起こったためにできていることが多く、また、雨漏りを引き起こす可能性があります。降雨時に、雨が壁にあたって流れ落ちてくる際に、横向きのクラックへ雨水が入りやすくなってしまいます。
クラックの中で浸入した雨水が溜まってしまうと、外壁が湿り、下地の腐食につながります。
まとめ
建物のひび割れ(クラック)と聞くと、「危ない」と感じるかもしれませんが、全部のひび割れが早急に補修をしなければいけないわけではありません。
しかし、ひび割れはやがて年月とともに大きくなり、建物の構造に影響を与えることもあるため、気になるひび割れがあれば、早めに信頼できる専門業者に相談してください。